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接続詞

接続詞は、複数の節を連結する際にそれぞれの関係性を示す役割を担う。

助詞と同様、特に文語では接続詞を用いず文同士を直接並べることも可能である。しかし口語では接続詞を用いない節の連結は文語ほど頻繁に見られず、堅い表現や成句など以外では接続詞を伴うことが多い。

  • 地揺家崩消。(地 揺 而 家 崩消.)
    地面が揺れて建物が壊れる。
  • 出元栄国、行西向。(出 元 栄国, 追 行 西 向.)
    雰国を出て、西の方に向かう。
  • 媛被刺以弩未死。(媛 被 刺 以 弩 回 未 死.)
    彼女は銃に撃たれたがまだ死んでいない。

ただし雰語においては、前置詞と接続詞の区別が曖昧になる場合がある。例えば以下の文で、原因を表す「以由(以由)」は前置詞とされるが、後続の節を従属節ではなく独立した節と捉え、接続詞として分類することもできる。

  • 我欲喉水、以由不喉跨去三刻。(我 欲 喉 水, 以由 不 喉 跨 去 三 刻.)
    水を飲みたい、なぜなら三刻の間(水を)飲んでいないから。

整調の接続詞

特に文語の詩的な表現などでは、短い節を連続させる場合に語調を整えるため、それ以前と意味的なつながりを持たない整調の接続詞が置かれる場合がある。

  • 旭来、追昼来、追夜来。(追 旭 来, 追 昼 来, 追 夜 来.)
    朝が来て、昼が来て、夜が来る。

主要な接続詞

「追」

()」は、前後の節が時間的に前後に並んでいることを示す接続詞である。また、時系列が明示されていない節において、話題の転換を伴わない節同士の接続に用いられる。

  • 出元車座含水門行左。(出 元 車座 含 水門 追 行 左.)
    駅の北口を出て左に進む。
  • 汝食麺我食餅。(汝 食 麺 追 我 食 餅.)
    あなたは麺を食べ、私はパンを食べる。

「経」

()」は、前後の節で場面や話題の転換が起こる場合に用いられる接続詞である。

  • 歩元其車座入目餐店。(歩 元 其 車座 経 入目 餐店.)
    その駅から歩いてレストランを見つけた。

「而」

()」は、前後の節がほぼ同じ時点にある事柄であったり、一方がもう一方の補足や原因を示しているなど、密接な関係で結ばれている節に用いられる接続詞である。日本語における複合動詞の関係にも近い。

  • 青仁走来。(其人 走 而 来.)
    さんが走って来る。
  • 掌飛影機而掃建。(掌 飛影機 而 掃建.)
    テレビを叩いて治す。

「故」

()」は、順接の接続詞である。前の節が後の節の理由や根拠となっていることを示す。

  • 在去日長歩、居庵在之日。(在 去日 長 歩, 故 居 庵 在 之日.)
    昨日は長く歩いたので、今日は家にいる。

「回」

()」は、逆接の接続詞である。後の節が前の節から予測できる内容と異なることを示す。

  • 我去書其於心記紙、逃其紙。(我 去 書 其 於 心記 紙, 回 逃 其 紙.)
    私はそれをメモ用紙に書いたが、その紙を無くした。

「模」

()」は、前の節が条件や仮定、後の節がその結果となることを示す接続詞である。

  • 歩在外白筋汝可死。(歩 在 外 白筋 模 汝 可 死.)
    もし白線以外を歩けばあなたは死ぬだろう。
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