動詞
及・不及動詞
雰語の動詞は、一部を除いて及動詞と不及動詞に分類される。雰語には自・他動詞の区別が存在せず、目的語に対する動詞の振る舞いはその動詞が及動詞と不及動詞のどちらであるかによって規定される。
及動詞
「食(食)『食べる』」、「彩(彩)『着色する』」のように、動作を行う対象が存在することが前提となっており、目的語が無い場合の主語と、目的語がある場合の主語の動作が同じになる動詞を指す。例として、以下で目的語の有無による及動詞の意味の違いを比較する。
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我食。(我 食.)
私が食べる。
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我食果。(我 食 果.)
私が果物を食べる。
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汝彩。(汝 彩.)
あなたが着色する。
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汝彩壁。(汝 彩 壁.)
あなたが壁を着色する。
不及動詞
「落(落)『落ちる』」、「活(活)『生きる』」のように、主語のみで動作を行うことが可能で、目的語が無い場合の主語と、目的語がある場合の目的語の動作が同じになる動詞を指す。すなわち、不及動詞が目的語を取った場合には「Sが(OがVしている)状態にさせる」といった文意の解釈がなされる。例として、以下で目的語の有無による不及動詞の意味の違いを比較する。
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猫落。(猫 落.)
猫が落ちる。
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猫落皿。(猫 落 皿.)
猫が皿を落とす。
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兵活。(兵 活.)
兵士が生きる。
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兵活虫。(兵 活 虫.)
兵士が虫を生かす。
不及動詞を用いた文では、動作の対象・方向・目的などの要素が前置詞句で表される。これらを目的語に置くと文意が変化してしまうので注意が必要である。このとき用いられる前置詞の種類は、動詞毎に概ね決まっている。
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我出元地洞。(我 出 元 地洞.)
私は洞窟から出る。
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我出地洞。(我 出 地洞.)
私は洞窟を出す。🤔
特殊な動詞
以下は及動詞にも不及動詞にも分類されない不規則な動詞である。
「為」
コピュラ動詞であり、補語のみを取るため目的語を取ることがない。
「成」
「変化する/させる」という意味の動詞であり、間接目的語が無い場合は及動詞的に、間接目的語がある場合には不及動詞的に振る舞う。なお、間接目的語は前置詞「於」で示される。
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蟾成。(蟾 成.)
カエルが(何かに)なる。
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蟾成大。(蟾 成 大.)
カエルが大きくなる。
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蟾成大於庵。(蟾 成 大 於 庵.)
カエルが家を大きくする。
形式目的語
不及動詞を用いた節では、目的語を省略することで文意が変化してしまう場合がある。このような節で意味を変えずに目的語を省略したい場合、形式目的語として「其」を用いることがある。ここでは不及動詞である「入(入)『入る』」を用いて例示する。
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我入柑行函氷籠。(我 入 柑 行 函氷籠.)
私が冷凍庫にミカンを入れる。(省略しない形)
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我入其行函氷籠。(我 入 其 行 函氷籠.)
私が冷凍庫に入れる。
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我入行函氷籠。(我 入 行 函氷籠.)
私が冷凍庫に入る。🤔(目的語なし)
1つ目の文からそのまま目的語を省略すると、冷凍庫に入る主体が「我」になってしまう。そのため意味を持たない目的語として「其」が置かれ、文意が保たれている。