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形態論・統語論

品詞

雰語の単語は以下の品詞に分類される。

名称説明
名詞物や概念の名称を叙述する。
動詞節の中心となり、動作や様態を叙述する。
形容詞名詞の状態や性質を叙述する。
副詞動詞や形容詞の状態や程度を叙述する。
数詞名詞や動詞の数量について叙述する。
助数詞数詞と共に用いられ、数量で表されている対象を類別する。
助詞複数の句を接続する。
前置詞句や節に前置されて前置詞句を作る。
接続詞複数の節を接続する。
情詞節末に置かれ、話者の語気や感情を叙述する。
感動詞感情表現や挨拶・返答のために単独で用いられる。

複数の単語のまとまりを指す。

名詞句

主要部が名詞であり、単語や他の名詞句、節、前置詞句などで修飾されている句。ただし、単独の名詞も名詞句として振る舞えることに留意。

修飾の関係性を表すためには助詞を用いることが多いが、あくまで補助的な役割を果たしているに過ぎないため必ずしも必要ではない。詳しくは助詞の項を参照。

また、前置詞による修飾においては名詞の主要部が省略され、あたかも単独の前置詞句が名詞句として振る舞うように見えることがある。詳しくは前置詞の項を参照。

  • 力車(力車)
    自動車
  • 赤力車(赤 力車)
    赤い自動車
  • 力車行侶庵(力車 行 侶 庵)
    彼の家行きの自動車(前置詞句による修飾)
  • 我腕然力車(我 腕 然 力車)
    私が運転する自動車(節による修飾)

また、複数の名詞句を助詞で連結したものも名詞句として扱われる。

  • 我来汝(我 来 汝)
    私とあなた

前置詞句

名詞句か節に対して前置詞を前置した句。

  • 内其国(内 其 国)
    その国の中で
  • 跨我行其追行元(跨 我 行 其 追 行元)
    私がそこへ行って帰る間

動詞句

主要部が動詞であり、副詞で修飾されている句。また、単独の動詞も動詞句として扱われることに注意。

  • ()
    食べる
  • 倫眠(倫 眠)
    ぐっすり眠る
  • 要走回(要 走 回)
    素早く回転すべき

節は、雰語における文の基本構造である。「(主語/主題) + 述語 + (目的語/補語) + (0個以上の前置詞句) + (情詞)」の形で構成される(括弧内のものは省略可能)。類型論的には雰語は主題優勢言語であり、主語が頻繁に省略されることも雰語の大きな特徴の一つである。

また、「節 + (接続詞) + 節」のように複数の節を接続詞で繋いだものも節とされる。

  • 我書話在庵(我 書 話 在 庵)
    私は家で物語を書く
  • 肉万定不食(肉 万定 不 食)
    (私は)肉は絶対に食べない
  • 猫入在籠、而豊其(猫 入 在 籠, 而 豊 其)
    猫が箱に入り、それを満たした

主語/主題

主語/主題は共に名詞句である。雰語では頻繁に主語が省略され、代わりに主題が文頭に置かれることもある。また、目的語が主題化して文頭に出されることがある。

  • (媛 歩)
    彼女は歩く [主語]
  • 日言不知(日言 不 知)
    日本語は分からない [主題化した目的語]

主語が同一である複数の文が連続する場合には、先頭の文以外で主語が省略される。

  • 為広透暁。庵在天京。(我 為 広 透暁. 庵 在 天京.)
    私は広透暁です。天京に住んでいます。
  • 為広透暁。庵在天京。(我 為 広 透暁. 我 庵 在 天京.) [省略前の形]

述語

述語は動詞句である。主に動作や状態を叙述し、節の中で省略することが出来ない唯一の要素である。裏を返せば、単独の動詞句であっても節として成立する。

  • 其紙。(我 目 其 紙.)
    私はその紙を見る。
  • (目.)
    見る。

総主文

例外として、総主文(「象は鼻が長い」のように、主題と主語が重複する文)では節が述語になる。

  • 其獣脚為太(其 獣 脚 為 太.)
    その動物は脚が太い。
  • 天京古事為多(天京 古事 為 多.)
    天京は歴史が長い。

上記の二つ目の例文は修飾構造を用いて以下のように言い換えることもできるが、焦点の位置が異なっている。

  • 天京古事為多。(天京 然 古事 為 多.)
    天京の歴史は長い。
    • 焦点が「天京然古事」に置かれており、単体で文が完結している印象を読者に与える。
  • 天京古事為多。(天京 古事 為 多.)
    天京は歴史が長い。
    • 焦点が「天京」に置かれており、天京以外の都市と歴史を比べたり、天京について他の観点から述べたりする文脈を読者に感じさせる。
    • 天京古事為多、商為栄、多蟾庵。(天京 古事 為 多, 商 為 栄, 多 蟾 庵.)
      天京は歴史が長く、商いが活発で、多くのカエルが住んでいる。

目的語

目的語は名詞句か節であり、述語の作用する対象を指定する。省略することも可能で、その場合は動詞によって振る舞いが変化する。詳しくは及・不及動詞の項を参照。

  • 我食赤果(我 食 赤果.)
    私はリンゴを食べる。
  • 媛知侶衆行其(媛 知 侶衆 行 其.)
    彼女は彼らがそこへ行くことを知っている。

また、前置詞を用いることで、主語を意味上の目的語として振る舞わせることもできる。

  • 赤果食使我(赤果 食 使 我.)
    リンゴは私が食べる。/ リンゴは私によって食べられる。

補語

補語は名詞句、形容詞、副詞、節のいずれかであり、主語について描写する。補語を取ることが出来るのは「」や「」など、一部の動詞のみである。

  • 侶為平仁(侶 為 平 仁.)
    彼はさんです。
  • 之筆籠為多貨(之 筆籠 為 多貨.)
    この筆箱は(金額的に)高い。

但し、補語は主語として用いることができない。

  • *平仁為(使侶)。
  • *多貨為(使之筆籠)。

前置詞句

節には複数の前置詞句を追加することが可能で、場所や時間、原因など様々な情報を付加できる。

  • 汝記其帳在集帳家(汝 記 其 帳 在 集帳家.)
    あなたはその本を図書館で読む。
  • 現臓痛由食古果(現 臓痛 由 食 古 果.)
    古くなった果物を食べたために腹痛がしている。

また、主節であれば前置詞句を先頭に移動させてもよい。この場合、文構造が複雑な場合は前置詞句の後に読点を挿入して区切ることも多い。

  • 在之日我衆不行庵汝。(在 之日 我衆 不 行庵 汝.)
    今日、私たちはあなたを帰宅させない。
  • 内其宗、制止出元庵在新日。(内 其 宗, 制止 出 元 庵 在 新日.)
    その宗教では、元日に家から出ることを禁じている。

情詞

情詞は節の末で話し手の感情や態度を表現する。詳しくは情詞の項を参照。

文章構造の中で最上位に位置する節はとして扱われる。文はあくまで最上位の節とその下に位置する従属節をまとめて指す概念であるため、1つの文はそれ自体が1つの節でありながら、内部には複数の節が含まれる可能性がある。例として、以下に一文がある。

  • 青仁行多人集然都在去日、故賜熱病在之日。(青 仁 行 多 人 集 然 都 在 去日, 故 賜 熱病 在 之日.)
    さんは昨日多くの人が集まる街に行き、そのため今日は風邪を引いてしまった。

これは単一の文であり単一の節だが、内部には更に幾つかの節を抱えている。

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