文字と転写
雰語は、主に表語文字である雰字を用いて書記される。この他に算用数字として算字や、音標文字として声字が使われることもある。雰字はそれぞれが語や形態素を表す表語文字であり、1文字は例外なく1音節で読まれる。
雰字は基本的に字形からその字音を予測することが困難であるため、必要に応じて雰字の読みを説明するために声字が併記されることもある。
また、書記方向は伝統的に右縦書きが主流である。近代以降は諸外国の影響を受けて左横書きが行われる機会も増えたが、現代でも書籍における組版の主流は右縦書きであるなど、伝統の影響は未だ根強い。
雰字
主に雰文化圏で広く使用される表語文字である。永球に存在する書記体系の中では文字数が最も多いとされ、その歴史は非常に長い。特徴としては現界の漢字と比べ会意字が多いことが挙げられる。また、雰国においては近代化改革の過程で、略字や俗字の採用によって雰字の緩やかな簡略化を行ってきた歴史があるため、標準雰語における雰字は他地域と比べ字画の密度が低いことも特徴である。
約物
約物は、文章を読解しやすくするために文中に挿入される。単語間にスペースを取らない雰語文では、正式な文書において伝統的に約物が余り重要視されず、専ら読者により注解として書き加えられるのみであった。そのため、雰語は現代でも約物の使用や配置方法に対して比較的寛容である。
また、一部の約物は縦書きと横書きで向きが90°変化するため注意が必要である。
図の「縦書き」から分かるように、感嘆符と疑問符は本来読点から派生した合字である。しかし横書き時には、読点が90°回転するのに対して感嘆符と疑問符の向きは変化しないことに注意せよ。
句点
句点(。)は、主に文末に置かれて内容の区切りであることを示す。文の内容によって感嘆符や疑問符で代用されることもしばしばある。
読点
読点(、)は、文と文の間、前置詞句とそれ以外の間、助詞で結合したそれぞれ名詞句の間などに置かれて意味上の区切りであることを示す。
感嘆符
感嘆符(!)は、文末に置かれて話し手の感情の昂りや強調などを表す。
疑問符
疑問符(?)は、主に疑問文の末に置かれる。
会話括弧
会話括弧(「―」)は、文中で人物が会話している部分や、引用された部分などを囲んで本文と分ける機能を持つ。
強調括弧
強調括弧(〈―〉)は、固有名詞を囲んで区別しやすくする他、文中で特別な意味を持たせたい語を囲むことでその語を強調する機能を持つ。
補足括弧
補足括弧((―))は、注釈や補足など、本文に比べて目立たなくとも良い情報を示す機能を持つ。
算字
算字 (bùoqô) は、主に雰字圏で用いられる算用数字である。詳しくは数詞の項を参照。
声字
声字 (wèqô) は、雰語の音声表記のために使われる表音文字であり、主に雰語学習者や子供向けの教材、辞典中の発音表記などに用いられる。近代に政府主導で制定されたものであるためその歴史は比較的浅い。
以下に声字の早見表を示す。
転写
雰字はUnicode等の文字コードに収録されておらず、現界での使用が技術的側面から難しい場合も多くあるため、複数の転写方法が定められている。
漢字転写
それぞれの雰字を字義が類似する漢字に転写する方法であり、雰字を使用することが難しい場面で雰語を表記する最も一般的な方法である。
- 例: 之日 → 之日
ラテン文字転写(雰拼)
雰語をラテン文字に転写する方法であり、主として雰語の発音を表記する場合に使われる。母音字に付したダイアクリティカルマークで声調を表記する符号ラテン文字転写(符号式雰拼)と、アラビア数字で声調を表記する数字ラテン文字転写(数字式雰拼)の二種が存在する。
- 例: 之日 → kúakúang (符号ラテン文字転写) / kua1kuang1 (数字ラテン文字転写)
ラテン文字転写では、主に以下のルールが定められている。
- 符号ラテン文字転写の場合、ダイアクリティカルマークは音節内で最初の母音字に付記される。
- 数字ラテン文字転写の場合、声調を表す数字は音節の末尾に書かれる。
- 一単語中にはスペースを挿入せず、続け書きされる。
- 数詞は、数と桁接尾辞の塊ごとに分かち書きされる。
- 符号ラテン文字転写で複数の解釈ができてしまうもの(s,l,n,m,ngと母音の連続)に関しては、音節の区切り部分に ’(アポストロフィー)が挿入される。
- 賜善 → jèl’úas (jè’lúasとの混同を防ぐ)
- 内帳 → yùo’sûs (yùos’ûsとの混同を防ぐ)
- 文頭、また固有名詞の先頭には大文字を用いてもよい。
- 我為之機。 → Xê xêl Kúaàil. / Xe3 xel3 Kua1ail2.